公務員試験における論文試験と作文試験の違いとは?採点基準や書くコツも紹介!

論文試験と作文試験の違いについて 公務員試験

公務員試験の「論文試験」と「作文試験」の違いってなに?

「論文試験」と「作文試験」ってどんな問題が出るの?

このような疑問に答える記事を用意しました。

受験に必要な科目を調べていると、自治体によって「論文試験」「作文試験」と記載が違う。こんな経験はありませんか?

何が違うのか、どう対策したらいいのか、僕も当時はかなり悩みました。

実は「論文試験」と「作文試験」には決定的な違いがあります。

この違いを理解しておかないと合格点に達する文章を書くことができないんです。

そこでこの記事では

  • 論文試験と作文試験の違い
  • 論作文試験の配点
  • 論作文試験の採点基準
  • 過去の出題例
  • 書くの際の注意点 など

僕が当時欲しかった論文・作文試験を突破するためのノウハウを紹介していきます!

落ちない論文・作文の書き方が知りたいという人は、ぜひ最後までご覧ください!

論文試験と作文試験の違いとは?

論文とは「論:物事の筋道を述べる」という意味があるように、100人が聞いて100人が納得する文章のことを言います。

ひろゆきさんのお言葉を借りると「それあなたの考えですよね?」となる文章は、論文とは言えないということです。

論文試験は、数値やデータを元に論理的に文章を展開していきます。
後述しますが、自分の主観や考え方は極力控えて、実データに基づいた根拠のある文章展開が求められます。

逆に作文とは、自分の経験や体験からの考察・そこから何を学んだか感じたか、自分の考えを書いていく文章です。

論文とは対照的に、作文試験には必ず自分の意見・考えを書く必要があるんです。

この違いを理解しておかないと、求められている文章が書けない!

論文と作文の違いは必ず押さえておいて!!

論文・作文試験の重要性

論作文試験の配点について

論文試験・作文試験の違いがわかったところで、重要性も理解しておいてください。

近年の公務員試験は、論文試験・作文試験の重要度がかなり大きくなっています。

教養試験専門試験論文・作文試験面接試験
国家一般職22%45%11%22%
特別区11%11%33%45%
地方市役所17%17%17%49%
スタディング公式HPより引用

特に、特別区や地方市役所の受験を考えている方は教養試験・専門試験と同レベル、もしくはそれ以上に重要な試験です。

昔の公務員試験は合格のために教養・専門試験が7〜8割を占めていました。

しかし、近年の公務員試験は教養・専門試験は5〜6割ほどであり、残りは論文試験と面接試験が占めるほどになっています。

公務員試験の合格には、論文・作文試験の攻略が必須なわけです。

論文試験・作文試験の採点基準

論作文試験の採点基準について

論文試験の採点基準

論文試験の採点基準は以下の3点がポイントです。

  • 設問に対しての結論が論理的であるか
  • 結論に対して、論理的な根拠や証拠があるか
  • 実現可能な方法かどうか

どこかが著しく欠けている場合は、点数がもらえないこともあるため必ず押さえておいてください。

採点イメージは以下の通りです。(今回は50点満点と仮定)

設問に対しての結論が論理的であるか

基準点(A:30点 B:20点 C:10点 D:0点)が設けられており、結論の妥当性を評価され点数が付与される。

結論に対して、論理的な根拠や証拠があるか

この部分は、減点方式が取られる。

実現可能な方法かどうか

残り20点は、具体的な提案が実現可能かどうか整合性が取れているかで加点される。

理想の空論ばかりを述べている文章は点数が低くなることがあります。

日頃からニュースや新聞などを読みつつ、自分の提案が本当に実現可能なのか意識して対策をしていきましょう!

作文試験の採点基準

作文試験で高得点をとるためには、以下の5点を意識してください。

  • 設問に正しく答えられているか
  • 説得力のある主張が述べられているか
  • 誤字脱字がないか
  • 原稿用紙の使い方が間違っていないか
  • 時間、文字制限などのルールが守られているか

上記でも述べたように、作文試験とは自分自身の考えや主張をアピールする試験です。

そのため、説得力のある主張、採点者が納得する考えをいかに書けるかが重要です。

さらに「誤字脱字」「原稿用紙の使い方」「文字制限」などの細かなルールを見落としている人がかなり多い。

論文試験にも当てはまりますが、公務員は法律、規則(ルール)を根拠に業務を行います。

設問に「⚪︎⚪︎文字以内」「根拠を3つ出して」などの制約がある場合は、必ずチェックをつけて見落とさないようにしましょう!

見落としで減点もしくは不合格になるのはもったいない!設問は最低3回読んでしっかりと理解しよう!

論文試験の出題例

論文試験の出題例

ここからは、各試験種ごとに論文試験の出題例を紹介していきます。

国家一般職

【2022年の設問】

我が国は、2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。また、2021年4月には、2030年度の新たな目標として、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%削減に向けて挑戦を続けるとの新たな方針を示した。なお、世界では、120以上の国と地域が2050年までのカーボンニュートラルの実現を表明している。

上記に関して、以下の資料①、②を参考にしながら、次の(1)(2)の問いに答えなさい。

(1) カーボンニュートラルに関する取組が我が国にとって必要な理由を簡潔に述べなさい。
(2) カーボンニュートラルを達成するために我が国が行うべき取組について、その課題を踏まえつつ、あなたの考えを具体的に述べなさい。

※資料の添付は省略

国家一般職の論文試験攻略のポイントは、資料から「出題者が答えてほしい内容を見つけること

要するに、独自性があるかではなく、あらかじめ答えてほしい内容が決まっていてそこを見極める。出題者側の意図に沿った論文が書けるかが重要です。

というのも、国家一般職の業務は、政治家などのサポートをする仕事。

与えられた仕事を確実にこなす、機械的な処理能力が求められます。言い方は少し悪いですが、そこに独自性などは必要ないんです。

だからこそ、論文試験でもその点が重要視されます。

資料中の図や数値から出題者が何を答えて欲しいか?を読み取り、その意図に沿った論理的な文章を書くように意識してみてください!

東京都庁

【2024年の設問】

(1) 別添の資料から、強靭で持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、サーキュラーエコノミー(循環経済)への転換を図るために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で完結に述べよ。

(2) (1)で述べた課題に対して、都を含む行政は具体的にどのような取組を進めるべきか、都の現行の施策に言及した上で、あなたの考えを述べよ。

東京都庁の論文試験の攻略ポイントは、国家一般職とは少し異なり「独自性やユニークさなどの主観的な考え」を入れていくこと。

というのも、東京都庁の職員は自ら施策を立案し進めていく必要があります。

そのため、機械的な処理能力ではなく、現在の課題から物事を多角的に捉え、実行可能でありかつ柔軟な施策の立案力が求められているんです。

そのため、出題者が答えてほしいような誰にでも書ける論文ではなく、これは面白いと思ってもらえるような論文構成力が必要になります!

地方市役所

【令和5年度 北九州市の設問】

(1) 資料1、2、3、4から読み取れる日本の特徴を3つ挙げなさい。

(2) (1)の特徴が北九州市において当てはまると仮定し、北九州市において取り組むべき事項を挙げ、具体的な解決策を論じなさい。

資料1:世界時価総額ランキング

資料2:日本の大学発ベンチャー数の推移

資料3:18歳意識調査(国や社会に対する意識)

資料4:主要国における開業数の推移

【令和5年 横浜市職員採用試験(大卒程度)事務】

近年、気候変動に伴う風水害等の激甚・頻発化や、多くの被害が想定される大規
模地震発生の切迫など、自然災害に対するリスクは年々高まっています。こうした
状況の中でも、持続可能な都市として発展し続けるため、横浜市では災害から人
命と社会経済活動を守る安全な都市の実現に向けて、地域防災力の向上など防
災・減災と強靱化の取組を総合的・継続的に進めています。
市民一人ひとりに「自らの命は自らで守る」防災意識の浸透を図るための取組を進
めるため、横浜市職員としてどのように取り組んでいきたいか、あなたの考えを述
べなさい。

※地方市役所では横浜市のような設問が多いです。しかし、今後資料から読み取るタイプの問題も増えてくる可能性があるため紹介しておきます。

地方市役所の論文試験攻略のポイントは、基本的に東京都庁と同様です。

国家一般職とは異なり、独自性・柔軟な思考力が求められます。理由も同じく、自らが課題を発見し解決のための施策を立案、実行していかなければならないからです。

また、こういった設問の場合、受験する自治体が現在行なっている施策や課題、強みなども調べておく必要があります。

北九州市の場合、市全体でベンチャー企業などのスタートアップ支援を進めていくという発表が有名になりましたよね。ここを知っておかないと、(1)は答えられても(2)は答えられない。

どれだけ、受験自治体について調べられているかが地方市役所の論文試験では鍵となります。

自治体ホームページから論文試験の過去問を調べ、必要に応じて自治体研究を深掘りしていくようにしましょう!

作文試験の出題例

作文試験の出題例

続いて、各試験種ごとの作文試験の出題例を紹介します。

国家一般職:税務職員採用試験・一般職試験(高卒者試験)など

【2023年度】

誰もが生きやすい社会をつくるために必要なことについて、あなたの思うことを述べなさい。

東京都庁・埼玉県・神奈川県

【2023年度 東京都職員3類採用試験】

誰にとっても住みやすい東京をつくっていくために、私が取り組みたいこと。

【2023年度 埼玉県職員初級試験等】

あなたは10年後に職員としてどのような仕事をしていたいか、700字以上900字以内で述べなさい。

【2023年度 神奈川県職員採用試験(高卒程度)】

あなたがこれまでに成長を感じたと考える経験を一つ挙げ、その経験から学んだことについて述べなさい。

地方市役所・公安系

【2023年度 千葉市職員採用試験(初級)事務、学校事務】

人にかけられて嬉しかった言葉、心に残った言葉」について、具体的に挙げ、その体験を踏まえ、どんな職員になりたいか、あなたの考えを述べなさい。

【2023年度 横浜市職員採用試験(高卒程度)事務】

横浜市職員として、意欲を持ってチームで協力して仕事に取り組むにはどのようなことが必要か、これまでの経験を踏まえ、あなたの考えを述べなさい。

【2023年度 東京消防庁 消防官(Ⅲ類)作文試験問題】 

あなたが東京消防庁を希望する理由と、どのように成長していきたいかを述べよ。

このように、作文試験は自分の経験や体験を踏まえて、自分自身の考えや意見を書く形式が多いです。

地方市役所や公安系の試験に多い傾向があります。

論文試験とは対照的に、しっかりと自分自身の体験や経験、意見を主張する文章を書く必要がある点に注意して対策するようにしましょう。

論文・作文の書き方

論文・作文の書き方を解説

論文試験・作文試験の出題例がわかったところで、具体的な書き方に入っていきましょう。

いきなり書き始めない

論文試験・作文試験でいきなり文章を書き始める人がいますが、これはNGです。

なぜなら、途中で間違いを見つけても書き直すことができないからです。

論文・作文試験は原稿用紙に書いていく場合がほとんど。途中で間違えてしまうと隙間があいたり、不自然な使い方になってしまったりします。

そうなると、全てを消して書き直すしかなくなりますよね。

なので、いきなり書き始めることはしないようにしましょう。

分析→構成を考える→書く

では、どのように本文を書けば良いのか。書くまでの流れを解説していきます。

結論、情報を分析し構成を考えて、本文を書き始める

書き方の手順

時間的には、情報分析③:構成を考える⑤:本文を書く② くらいのイメージでOKです。

上記をより細かく分けると以下の流れになります。

  1. 与えられている設問、資料から情報を分析し、結論を導くのに必要な要素を余白に書き込む
  2. 設問に対する結論を導くための流れ(構成)を練る
  3. 各構成ごとの文章を殴り書きで余白に書き込む
  4. 本文を書き始める

論文試験・作文試験は準備が9割です。上記1〜3にしっかりと時間を使い採点者を納得させる文章を作りましょう!

行政職員の視点を入れ込む

いくら素晴らしい文章が書けていても行政職員の視点が抜けている文章は評価されません。

本文を書く際には、以下の考え方を入れて書いてみてください。

  • 行政は適応できる人ではなく、適応できない人を救う職である
  • 住民目線で考える
  • 実現可能な施策・提案か

適応できる人ではなく、適応できない人を救う

公務員の業務は「最終ネット」とよく言われます。(生活保護などが良い例)その業務の特性上、何かしらに適応できない人も助けられる施策・提案が求められるんです。

民間企業との違いですが、民間企業は利益を求める必要があるため対象者を絞って施策を行います。

しかし、公務員は営利目的ではない。市民、国民の税金を使って施策を行うわけです。そのため、対象者は全市民、全国民です。

民間企業の施策から漏れ出た人を救う、全ての人に納得してもらえる。そんな施策・提案が求められることを意識しましょう。

住民目線で考える

例えば、あなたが地方創生の事業責任者であるとします。

上司から「この地域を盛り上げ住民を活発にする施策を考えてほしい」と言われました。あなたは、どのような案を考えますか?

案:映画館やショッピングモールをつくって移住者を呼び込み経済を回す

これだとNGです。

なぜなら、地方を都市化して喜ぶのであれば、そこに住む住民は都市部へ引っ越しているはず。

長年、その地域に住み続けている理由は、その地域が好きだからですよね。そのため、景観を損なうような施策を提案することは住民の反感を買うことになります。

常に住民目線で施策やサービスを考える。思いつきの施策の列挙は控えましょう。

実現可能な施策・提案か

採点基準の項目でも説明した通り、近年の論文試験・作文試験は「実現可能な施策か?」という視点が重要です。

人口減少、少子高齢化などにより行政は施策やサービスにかける予算の削減が求められている現状にあります。

少ない予算の中で住民を満足させるサービスを考えるのも公務員として必要な能力です。

自分が提案した施策・サービスが本当にその自治体の規模で実現可能なのか。この視点も忘れないようにしてください。

論文・作文が上手くなるコツ

論文・作文が上手くなるコツを紹介

最後に、論文・作文がうまくなる秘訣を紹介します。

  • 合格する論文・作文を読む
  • 実際に書いて比較・添削する

上記2点が、論文・作文のレベルを上げるためには必須です。

合格する論文・作文を読む

あなたの最終目標は「合格する論文・作文を書くことができる」ですよね。

であれば、まずはどの論文・作文が合格できるのか、そのレベルを把握しておく必要があります。

多くの受験生はここができておらず、読みづらい構成中身のない文章を書いてしまうケースが多いんです。

自分が書くべき合格する論文・作文がわからないと、どの方向性で対策を進めていけばいいかわかりませんよね?

まずは、合格レベルの論文・作文をしっかり読み込んで自分自身が書けるようになるべき文章を理解するようにしましょう。

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実際に書いて比較・添削する

合格できる論文・作文が理解できたら、あとは実際に書いていくだけです。

この記事で紹介した、論文を書く時の注意点や視点を織り込んで、合格論文・作文の構成書き方を見本に書いていきましょう。

そして、書いたあとは合格論文・作文と比較する。もしくは、第三者に添削してもらいフィードバックを必ず受けてください。

論文試験は、あくまで人が採点します。第三者が見てどう思うのか、その意見は貴重です。

可能であれば、近くの論作文に精通した人に見てもらうのがベストですが、難しいようであれば以下のサービスを利用してみてください!

現役の論文採点者が実際に添削し、適切なフィードバックをもらえます!

ココナラで論文・作文の添削を依頼する!

はじめはうまく文章を書くことができないと思います。

しかし、このステップを繰り返し行うことで確実に合格レベルの論文・作文に近づくはずです。

最後に

この記事のまとめ

本日は、論文・作文の違いから出題例、書く際の注意点についてお話ししました。

以下に、本記事のまとめを作成しておきます!

【論文試験のまとめ】

  • 論文とは、100人が読んで100人が納得する論理的な構造の文章である
  • 論文試験は国家一般職、都県職員、地方市役所(大卒程度)で多く出題される

【作文試験のまとめ】

  • 作文とは、自分の体験、経験から学んだ自分自身の意見、考えである
  • 作文試験は地方市役所(高卒程度・初級)公安系で多く出題される

【論文・作文試験 共通】

  • いきなり書き始めない
  • 情報分析→構成の立案→本文の順で書く
  • 行政職員の視点を入れ込む

これらの内容を意識して対策を進めていけば、高い確率で合格する論文・作文が書けるようになるはずです。

ぜひ、意識して今日から取り組んでください!

この記事を書いた人
たくみ

社会人3年目(24)
「公務員を目指す学生や社会人へ公務員試験の突破方法」
をメインにブログを書いている人

【実績】
・2021年、2023年の公務員試験を受験
・4つの自治体を受験し、すべてに上位で合格
・Instagramではフォロワー1,700人突破!

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